春の日の書(ふみ)読む我れは若かりき 夢成らざるに虫の声聞く(少年老い易く…より)
滴塵018
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春の日の書(ふみ)読む我れは若かりき 夢成らざるに虫の声聞く (少年老い易く…より)
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若き日の夢を忘れてはいないが、実らぬまま老いを迎え、秋の虫の声に無常を聞く。 現代語訳
春の陽気の中で書物を読み耽って夢を抱いた若き日。しかし夢は果たせていないのに、もう秋の虫の声がしている。時の移ろいを感じる。 注釈
少年老い易く学成り難し:「少年易老學難成/一寸光陰不可輕/未覺池塘春草夢/階前梧葉已秋聲」中国宋代・朱熹「偶成」の有名な詩句を踏まえる。もっとも最近の研究では、日本の禅僧の作という。 解説
深掘り_嵯峨
理想を追っていた「春の日」から、気づけば「虫の声」が聞こえる「秋」へと人生は進み、その間に「夢成らざる」という諦念が残っています。若さゆえの輝きと、それが失われた後の寂寥感が、対比的に深く心に響きます。